当社グループが今後も持続的に企業価値を向上させていくためには、当社グループの最大の経営資本である人材をさらに強化していくことが必要不可欠です。そのためには、優秀な人材を採用し、適切に育成・活用していくことが重要です。
当社の採用は、創業から179年間という長い歴史のなかで育まれてきた当社グループの価値観である企業理念「誠実」「公正」「調和」に基づいて実施しており、3つのC「Change(社会の変化を的確に捉え、迅速果断に自らを変革する)」「Challenge(強い信念、高邁な向上心をもって、新たな領域に挑戦する)」「Create(多様性を尊重し、世界規模で新たな価値を創造する)」を積極的に実践できる人材の採用に取り組んでいます。さらに、当社グループの事業領域拡大に伴う人材の戦略的配置に向けて、キャリア採用も積極的に推進しており、さまざまな経験を有し、自らのスキルを最大限に活かせる環境を求めているChallenge精神旺盛なプロフェッショナルをグループ各社に迎えています。OVOL中期経営計画2026では多様な人材の確保に向けて、当社においては総合職採用における女性比率を30%以上にすることを目標としています(2023年度においては目標値を達成)。
当社は、「役割責任制度」を人事制度の基本理念とし、経営の基本機能である「ビジョン・戦略策定機能」「業績達成マネジメント機能」「業務遂行機能」を、従業員個々人が分担し受け持つ「役割」と「業績責任」の大きさ・レベルにあてはめ人事処遇することを制度の基本フレームとし、人材の育成と活用を行っております。人材育成のための教育・研修体系では、「役割と責任を果たす人材の育成」「変革期に対応する自立型人材の育成」をコンセプトとし、従業員一人ひとりの能力向上や、人と組織の活性化を目指したプログラムを推進しています。「階層別研修」では、昇格対象者を一堂に集めて、期待される役割の理解とワンランク上の業務遂行に向けた研修を実施し、「選択型研修」では、コア人材に必要な経営知識やマネジメントスキルの習得を目的に、高度化・複雑化する組織課題や業務課題の解決・達成に向けた実践的なプログラムを取り入れています。さらに、国際的視野を備え、海外との実践的なコミュニケーション力を有する人材を育成するために、「海外研修制度」を運用しています。加えて、タレントマネジメントシステムにより、従業員の職歴などの基本情報や経験・スキルなどの能力など情報の一元的な管理・可視化に取り組み、これらを教育計画に活用するとともに、従業員それぞれの特性を活かした戦略的な人材配置にもつなげています。
今後は、人材データの棚卸しをさらに精緻化させ、そのデータに基づいた戦略的な人材育成投資を実行していくことで、当社の持続的な企業価値向上を担う人材のスキルや能力の向上を図っていきます。OVOL中期経営計画2026では従業員全体のスキルの底上げと、専門人材の育成に向けた教育研修強化のために教育研修費への人材育成投資を 2023年度比で 3倍以上にしていく目標としています。
企業のマネジメントにおいて、目標管理は業績管理上不可欠であり、人事評価と組み合わせることで、組織の動機づけや個の能力開発を促進し、処遇を決定する重要なファクターとして活用されます。当社の人事評価制度は、「グレード基準評価」と「チャレンジ評価」により構成されており、社員の育成ツールとしても積極的に活用することでパフォーマンスの最大化を目指すことができます。また、目標設定と評価のいずれの場面においても、評価者および被評価者双方でよくコミュニケーションを取ることで、成果や行動を適正に評価し、フィードバックにより透明性を高めることで従業員の納得感を高め、モチベーションを支えていくことに注力しています。
当社は、長期ビジョン実現のためには人的資本経営の推進によるエンゲージメント向上が重要な課題と認識しており、2023年より毎年2回エンゲージメントサーベイを実施しています。サーベイ結果のフィードバックを通じて組織課題を可視化し、改善活動を行っていくことで、これまで以上に従業員一人ひとりの働きがいを高め、より活躍し、付加価値を生み出す新たな仕掛けづくりにチャレンジできる組織風土の醸成と生産性の向上を目指していきます。
過去3回のサーベイ結果に対する課題と取り組み
過去3回のサーベイ結果から見える当社の課題として、グループの成長戦略が従業員へ浸透しきれていないことや人事ローテーションによる人材育成が挙げれらます。
これらの課題に対する取り組みとして、管理職を対象に結節機能強化を目的とした研修の実施や、ローテーションによる育成プログラムの再構築を進めております。今後も様々な取り組みを通じて更なるエンゲージメントの向上につなげてまいります。
当社グループは、「人材」を最大の経営資本と考え、役職員一人ひとりが自らの健康増進に主体的に取り組み、活力向上を実現できるよう支援しています。残業時間削減や有給休暇を取得しやすい環境づくりに加え、当社においては時間単位の年次有給休暇制度やシフト勤務の活用などにより今後さらに働き方改革を強化していくためにOVOL中期経営計画2026では月平均残業時間10時間以下、有給休暇取得率80%以上を目標としワーク・ライフ・バランスの実現に努めています。また健康支援の取り組みとして、メタボ改善を目的とした本社食堂でのヘルシーメニュー提供や特定保健指導の受診勧奨を行っています。循環器疾患対策(脳血管障害や心筋梗塞)では喫煙者に対する禁煙補助や年に1回全役職員を対象にウォーキングイベントを開催しています。このほか、健康リテラシー向上のために健康に関するセミナーを年に複数回開催するなどさまざまな健康支援を行っており、2023年度には健康優良法人を取得しました。このほか、当社は健診結果のシステム上でのデータ管理を進めており、今後データに基づく効果的な健康施策を実行していくことで、役職員一人ひとりが心身ともに健康で、生き生きと能力を発揮できる職場づくりを進めています。
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当社グループは「日本紙パルプ商事グループ労働安全衛生方針」を定め、労働災害ゼロ、危険ゼロ、職業性疾病ゼロを目指し、労働安全衛生体制および管理の強化に取り組んでいます。その取り組みは、人事部、環境・安全推進室、およびOVOL環境・安全委員会を通じグループ各社で実行、サステナビリティ戦略会議に報告され、取締役会が監督しています。当社グループは環境関連法令の管理体制と同様に、自社管理、環境・安全推進室、外部専門家による現地訪問を通じて安全管理上の改善事項を抽出し対策を行うことや、発生した事故・災害の情報を速やかにグループ内に共有することで再発防止に取り組んでいます。OVOL環境・安全委員会では、国内グループ会社を対象とした全体会議を2023年度に2回開催し、グループ各社との労働安全衛生に関するコミュニケーションの場を設けました。
当社グループはマテリアリティとして「労働環境」を掲げており、今後も最優先事項である労働安全衛生の向上に向けて、労働災害を防ぐための事前措置を講じるとともに、働きやすい職場づくりを進めていきます。
なお、2023年度の当社グループ内での死亡事故発生はゼロでした。
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